2026 10.20 tue., 10.21 wed., 10.22 thu.
JOSHUA REDMAN "Words Fall Short"
artist JOSHUA REDMAN
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
不動の人気を誇るサックス奏者、ジョシュア・レッドマンの来日公演が昨日から行われています。24年5月に開催されたライヴは、要注目のヴォーカリストであるガブリエル・カヴァッサにもスポットを当てたステージでしたが、今回はワン・ホーン・カルテットで全編を構成。現代のアコースティック・モダン・ジャズはこれだ、という声がきこえてきそうな雄々しいプレイを響かせています。
超満員の観客からの盛大な拍手を受けて、メンバーがステージに登場します。ジョシュアはジャケットにネクタイ姿。プログラムは目下の最新作『Words Fall Short』("言葉では言い尽くせない"という意味)からのものが中心でしたが、各地のツアーを通じて楽曲が成長・発展していったのでしょう、静謐な「A Message To Unsend」にしてもモーダルな「So It Goes」にしても実にドラマティックな展開を伴って演奏が進行、まるで組曲に接しているような気分にさせてくれました。『Words Fall Short』はもちろん、24年の公演にも参加していたポール・コーニッシュ(ピアノ)、フィリップ・ノリス(ベース)、ナジル・エボ(ドラムス)の3人は今回も鉄壁の連携をとっていて、しかもソリストとしても大きくフィーチャーされます。先日リーダー作『You're Exaggerating!』を出したばかりのポールが両手を文字通り自在に動かしてパラレル&リズミカルにアドリブを紡ぎ、卓越したダイナミクス(メリハリ)の持ち主であるナジルは"反応の鬼"と化して多彩なフレーズを楽器から導きます。ふたりの間に位置するフィリップはどっしりとしたビート、重厚な音色を供給。このベースの安定感があるから、バンドはここまで飛翔できるのかもしれません。ジョシュアのテナー・サックス吹奏が持つ音域の広さは尋常ではなく、ハイノート(アルティッシモ)の活用はいまやすっかり彼のトレードマークのひとつといった感じです。「So It Goes」でポールが楽想を広げに広げて大波のようなソロを行ない、それが一段落したとたんにジョシュアがトランペットのような鋭い高音で飛び込んでくるところも、ライヴの名場面のひとつでした。
"ジョシュアは旧作からの曲をあまり演奏しない"と個人的なイメージを、この夜は快く裏切ってくれました。プレイされたのは「Soul Dance」、なんと30数年前に発表されたアルバム『Wish』からの楽曲です。その作品では、パット・メセニー、チャーリー・ヘイデン、ビリー・ヒギンズ(つまり皆、父デューイ・レッドマンの演奏仲間です)と共演していましたが、今回、ジョシュアはテナーではなくソプラノ・サックスでこの曲を再生します。ブラッシュ中心に演奏していたヒギンズとは対照的にナジルはスティックを用いて華やかなビートを送り、パフォーマンスはどんどん熱を帯びていきます。そして本編ラストでは、敬愛するソニー・ロリンズの楽曲「Grand Street」を演奏。ジョシュアがMCで「あまり知られていない曲」と語っていた通り、カヴァー・ヴァージョンも稀少で(フランク・ヘインズがテナーを吹いたデイヴ・ベイリーのアルバム『Bash!』に入っている同曲がお勧めです)、私はこの曲をライヴで聴いたのは今回のジョシュアが初めてです。ロリンズの代表曲「Alfie」にとても構造が似ている、この実にノリやすい曲が、さらに多くのミュージシャンに注目されることを願ってやみません。ジョシュアは途中ピアノレス・トリオによるパートをはさみながら、"ジョシュア節"でロリンズの古典を染めあげました。さあ、今度のセットではどんな楽曲が飛び出すのでしょうか。目の覚めるような4人の"音の会話"は22日まで行われます。
(原田 2026 10.21)
Photo by Tsuneo Koga
―――――
【LIVE INFORMATION】
JOSHUA REDMAN
"Words Fall Short"
2026 10.20 tue., 10.21 wed., 10.22 thu. ブルーノート東京

coming soon







